ユナイテッドコラボレーション第4回公演

「実験」
〜桂木先生砂漠で踊る〜

今回はこれまでの2公演とは趣向を変え、日本の小劇場を代表する劇団青い鳥(ドゥエルナ・アイン)の作品を選びました。題名は『実験』。3人の科学者たちが砂漠で緑を育てようと実験を続けるお話です。小劇場の作品ながらもTUCらしさを出そうという、まさに“実験”的な試み。取り組んでいるうちに3美神の神話、環境問題、科学への警鐘などのキーワードが浮かんできました。自然と科学、画家が登場するエピローグ、プロローグを新しく創作し、歴史的な物語と、笑いにあふれた軽妙な本編とが人間が自然に対して行ってきた事実を暗示します。ダンスを本格的に取り入れ、イスラム文化をモチーフに、音楽、衣装、グラフィックもかなりこだわっています。映像はOHPなどを使用し、リアルな小道具、アナログな表現による面白さが好評でした。

あらすじ

不毛な砂漠。桂木先生(博士)と、助手の春田と熊野が、砂漠の緑化を目的に、一本の苗を育てようと、長期間砂漠で実験を繰り返しています。ホームシックにかかったり、酸欠になったり、ケンカしたり、、、。
苗の成長がストップしてしまい、結果を出さなければ研究の打ち切りもありえます。さて…

伝承の物語

第3章 人類の終末
自然の恩恵を忘れた人類は
"scientia"という名の神を崇拝し
弱き者の血と魂を生贄に捧げ
金と権力を貪った

歯止めの利かない人類は
永い時間をともにした自然を
一瞬にして裏切り
破壊と略奪で緑は失われ
大地は巨大な象牙の塔で溢れた

文明という虚構の楽園
明かりを灯し続けるため
古の屍を掘り起こし 燃やし続けた
炎と煙は 太陽の光を遮り 大地を熱し 海を枯れさせ
生命の灯火 一つまた一つ消えていった

古の贈り物は永遠に続かない
少ない残りの奪い合い 多くの血と引き換えに
生贄を得た"sientia"の神 破壊と殺戮のロンドを踊る
正気が狂気に 悲しみが悦楽に
最後の心が消えたとき
裁きの雷が落ち 全てのものが焼き尽くされた



テーマを失いキャンバスの前で絶望する画家。
現代の悲劇的な状況では描くべきモチーフを見出せない。




そこに現れる神話の3人の女神達。
彼女は彼に訴えるようにダンスを踊る。




場面は明るくなると。
桂木が論文発表のリハーサル中。
非科学的。



助手二人には不評のようす。



楽しみにしている日本からの仕送りをチェックする春田。


風鈴を吊るの図。
うるさいからぬいぐるみも吊るの図。

 


大きいういろうをめぐり激しく争う3人。



桂木がマニちゃんを持っている…
そして…?



何か明るい材料はないか
過去のデータをチェックする二人。



ランチ。朝食の乾いたソーメンをすする。
食事当番は桂木。



思い出のアルバム映像とともに踊る(マニちゃんの踊り)?



やはりパスタを奪い合う3人。
この芝居は食べてばかりな気がする。



新しい学説を思いつく桂木。



それは周囲の環境が生育に関係するというもの。
笑顔を強要される二人。



やはりダメ。
お互いに八つ当たる。



突然の研究打ち切り報告をする春田



寂しさを紛らわすように掃除を始める熊野。



最後の晩餐。
とっておきのボトルを空ける。



砂漠の夜空を見上げて。



桂木の独白。
マニちゃんの謎がここで明かに!
ここでは言えませんけど。



そして迎えのヘリが。

暗転…




そこにはプロローグで登場した絵描きが。
無心にキャンバスに向かって描いている。


そこには大木に育った一本の木。

それはマニちゃん。

見守っている豊穣の三美神。


しかしそれを見捨るかのように、争いに向かうヘリのシルエット。

それは時代を超えた人間の行為。

自然と科学の歴史。



絵画と同じモチーフで。

そんな残酷な真実に抗うためにアートがある。

そんな気がします。




ご協力
ご来場頂きました皆様…



本当にありがとうございました。



スタッフと一緒。


Photo:Yoshisato Komaki



原作:青い鳥(ドゥエルナ・アイン)
潤色:The United Collaboration
2008.2.22〜2.24

@ アートスペース201
札幌市中央区南2条西1丁目



CAST

高橋 千尋
斎藤 もと
中川原 しをり
有田 桐

 

STAFF
演  出・・甲斐大輔
ビジュアル、音楽・冨田哲司
舞台監督・・二唐俊幸
小道具・効果・・三島祐樹
衣  裳・・斎藤 もと
照  明・・石黒 義健
制  作・・TUC


ページトップへ